いのちの授業
昨年からスタートした介護福祉士養成コースの授業の一コマです。良い本を探していたところ日野原先生の書籍に感激し、学生達に少しでも何かを伝えられたらと作成しました。
日本の介護を将来にわたって支えてくるリーダー候補達なので、業務上支障がないN2レベルの高度な日本語能力+介護業務知識とスキルだけでなく、マインドの部分での養成にも少しでもお役に立てればと思います。
この問題の授業でのご活用は、ご自由にどうぞ。また、⑬ の問題の解答は、このテキストには載せていません。学生達には、「(答えは(日野原先生のご本の中にあるよ」とご本を渡しました。
いのち の 授業(じゅぎょう)
日野原(ひのはら)先生は、有名(ゆうめい)な医者(いしゃ)です。1911年生(う)まれの106歳(さい)です。先生は、今もお元気(げんき)に仕事(しごと)をされています。そして、ときどき、小学生(しょうがくせい)に授業(じゅぎょう)をされます。何の授業でしょうか。 … それは、命(いのち)の授業です。
命があるから、生きている。命があるから、遊(あそ)んだり、たべたり、勉強(べんきょう)したりできる … と思(おも)っていませんか。では、命って何だと思いますか。
心臓(しんぞう)ですか? 頭(あたま)ですか? 身体(からだ)全部(ぜんぶ)でしょうか?
心臓は、生きるために必要(ひつよう)ですね。しかし、心臓は命とは言(い)えません。
命は、見(み)えますか? 見えませんね。
では、命があるからできることをもう一度(いちど)、考(かんが)えてみましょう。… そう、生きていることです。今日、生きていること、明日、生きていることです。つまり、命は、生命(せいめい)=寿命(じゅみょう)(生きている時間(じかん))と言えます。
例(たと)えば、1時間だけ自由(じゆう)に使(つか)える時間があったら、どうしますか? ゆっくりしますか? 友(とも)だちとあそびますか? 部屋(へや)をそうじしますか? 本を読(よ)みますか? … 同(おな)じ1時間でもその使い方(つかいかた)は、いろいろでしょう。ですから、命は
『 命=あなたが使える時間 』 なのです。
あなたは、朝(あさ)起(お)きてから何をしますか? ご飯(はん)を食(た)べて、学校(がっこう)に来(き)て、勉強して、友達(ともだち)と話(はな)して、音楽(おんがく)を聴(き)いて、本を読んで、シャワーをあびて、寝(ね)て…。 それらは、みんな自分のために使っている時間ではありませんか?
ご両親(りょうしん)は、どうですか? 家族(かぞく)のためにご飯をつくったり、そうじをしたり、子供(こども)を学校に送(おく)り迎(むか)えしたり、子供が勉強できるためにお金(かね)をつくったり…。大変(たいへん)ですね。働(はたら)くということは、そういう時間が増(ふ)えてくるということなのです。
「自分のことばかりでいいのかな?」と考えてみて下さい。
二十歳(はたち)で成人(せいじん)となります。それは、どういうことでしょうか。自分がひとりで考えて自分の時間の決(き)められる大人(おとな)になるということなのです。
そのことを『自立(じりつ)』と言います。自分の時間こそが命なんだと考えて、自分のなすべきことを自分で設計(せっけい)することが「生き方上手(じょうず)」ということです。それは、上手に死(し)ぬための準備(じゅんび)にもなります。そして、自分のなすべきことが分からないと生きている意味もあまり感じられなくなります。
① 日野原(ひのはら)先生は、どんな方ですか。
② 先生は、小学生に何の授業をされますか。
③ 命は、心臓ですか。
④ 命というのは、〇〇です。 〇〇=( )
⑤ 30分間、自由に何をしてもいいなら、何をしますか。
⑥ ⑤ ですることは、自分のためのことですか。
⑦ お父さん、お母さんはご自分のために何かしていますか。
⑧ それは、なんですか。
⑨ 成人というのは、どういうことでしょうか。
⑩ 二十歳になったら、お酒を飲んでもいいですか。
⑪ 自分のなすべきことを自分で設計することは何上手?
⑫ あなたは上手に死ぬ準備を考えたことがありますか。
⑬ どうして、命は、目に見えないのだと思いますか。
⑭ あなたの『なすべきこと』は何ですか?
⑮ この話についてどう思いましたか。 すばるアカデミー
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